店舗は何坪必要?開業前に知りたい広さ・席数・バックヤードの決め方
はじめに|「何坪の店舗を探せばいい?」から迷っていませんか?
これから店舗を開業しようとすると、物件探しの早い段階で悩むのが「広さ」です。
「10坪あれば足りる?」
「20坪くらいあった方がいい?」
「客席を増やしたいから、できるだけ広い方がいい?」
「美容室なら何坪必要?」
物件情報には「○㎡」「○坪」と面積が記載されていますが、その数字だけを見ても、自分の店に十分な広さなのか判断しにくいものです。
店舗の広さを考えるときに重要なのは、
「何坪欲しいか」から考えるのではなく、「店内に何が必要か」から逆算すること
です。
同じ面積でも、物件の形、柱、入口、トイレ、設備位置などによってレイアウトのしやすさは大きく変わります。
例えば同じ20坪と表示されている物件でも、柱や設備スペースが多い物件と、整形でレイアウトしやすい物件では、実際の店舗づくりに使いやすい範囲が異なります。
そのため、募集面積だけで物件の広さを判断しないことが重要です。
また、飲食店、美容室、サロン、物販店、スクールなど、業種によって必要なスペースも異なります。
この記事では、これから店舗を開業する方に向けて、必要な店舗面積の考え方と、物件を選ぶ際に確認したいポイントを解説します。
※必要な面積、設備、通路、客席、施設基準等は業種、営業内容、建物、地域などによって異なります。具体的な店舗計画では、設計・施工会社や必要に応じて関係行政機関等へ確認してください。
店舗の広さは「必要なスペース」を書き出して考える
まず、自分の店舗に必要なスペースを整理しましょう。
例えば飲食店なら、
-
客席
-
厨房
-
レジ
-
待合スペース
-
トイレ
-
食材・備品の保管場所
-
冷蔵・冷凍設備
-
スタッフ動線
などがあります。
美容室なら、
-
セット面
-
シャンプー台
-
受付
-
待合
-
カラー剤などの収納
-
スタッフスペース
-
トイレ
-
洗濯・給湯設備
などです。
物販店なら、
-
商品陳列
-
レジ
-
商品在庫
-
試着室
-
バックヤード
-
搬入スペース
などが必要になる場合があります。
このように、先に必要な機能を書き出してから、
「これらを配置するには、どの程度の面積が必要か」
と考える方が現実的です。
「坪」と「㎡」の違いを理解しておく
テナント物件では、面積が㎡と坪の両方で表示されることがあります。
1坪は約3.3㎡です。
例えば、約33㎡ならおおむね10坪、約66㎡ならおおむね20坪というイメージです。
ただし、物件選びで重要なのは単純な面積換算ではありません。
同じ20坪でも、
-
正方形に近い
-
細長い
-
L字型
-
大きな柱がある
-
トイレが専有部分内にある
-
共用部にトイレがある
などによって、店舗としての使いやすさは変わります。
「20坪あるから十分」ではなく、その20坪をどう使えるのかを見ることが重要です。
面積だけでなく「形」を見る
店舗レイアウトでは、物件の形も重要です。
例えば、道路に面する間口が広い物件では、店内を見せやすかったり、商品や客席を配置しやすかったりする場合があります。
一方、細長い物件では、
-
奥までの動線が長くなる
-
厨房配置が限定される
-
デッドスペースが生まれる
こともあります。
もちろん、細長い物件が悪いわけではありません。
業種やレイアウトによっては使いやすい場合もあります。
大切なのは、
面積と平面形状をセットで見ること
です。
柱や設備スペースも確認する
図面では広く見えても、実際に内見すると、
「思ったより使える場所が少ない」
と感じることがあります。
例えば、
-
柱
-
梁
-
パイプスペース
-
分電盤
-
給湯器
-
トイレ
-
設備スペース
などの位置によって、家具や厨房機器、シャンプー台などを配置できる場所が変わります。
内見では床面積だけを見るのではなく、
実際にレイアウトしやすい範囲
を確認しましょう。
飲食店は「何席作りたいか」だけで決めない
飲食店では、
「○席作りたい」
という希望から広さを考えることがあります。
しかし、店舗に必要なのは客席だけではありません。
例えば、
-
厨房
-
冷蔵庫・冷凍庫
-
シンク
-
食器洗浄機
-
作業台
-
食材保管
-
配膳スペース
-
レジ
-
トイレ
-
待合
-
スタッフ動線
なども必要です。
客席を増やしすぎると、厨房が狭くなり、スタッフが動きにくくなる場合があります。
反対に厨房を大きく取りすぎれば、希望する客席数を確保できないことがあります。
重要なのは、
客席数と厨房・バックヤード・動線のバランス
です。
「1坪○席」という目安だけで物件を決めない
飲食店の計画では「坪数に対して何席」といった目安を見かけることがあります。
しかし、すべての店舗に共通する固定的な席数があるわけではありません。
例えば、
-
カウンター中心
-
テーブル中心
-
個室
-
ゆったりした客席
-
テイクアウト中心
など、営業スタイルによって必要な面積は異なります。
厨房の大きさも業態によって変わります。
物件探しでは単純な席数計算だけに頼らず、予定している営業スタイルからレイアウトを検討しましょう。
美容室はセット面だけでなく給排水を考える
美容室では、
「セット面を何席作れるか」
が気になります。
しかし、それだけでは物件を判断できません。
特に確認したいのが、
-
シャンプー台
-
給水
-
排水
-
給湯
-
電気
-
洗濯機
-
タオル等の収納
-
薬剤収納
などです。
例えばスペース上はシャンプー台を置けそうでも、希望する位置まで給排水を施工できるとは限りません。
必要な席数だけでなく、設備工事まで含めて確認しましょう。
サロン・整体などは施術スペースや個室数から考える
エステ、整体、各種サロンなどでは、
「何室必要か」
「ベッドや施術台を何台置くか」
から店舗面積を考える方法があります。
ただし、必要なのは施術スペースだけではありません。
-
施術室
-
カウンセリングスペース
-
待合
-
受付
-
スタッフスペース
-
収納
-
トイレ
なども考える必要があります。
個室を増やせば、壁や通路にもスペースが必要です。
単純に「ベッドを何台置けるか」だけで判断せず、受付から施術、会計までの動線も含めてレイアウトを考えましょう。
なお、医療系施設については、診療内容や必要な設備・構造等によって確認事項が異なるため、具体的な計画に応じて関係機関や専門家等へ確認してください。
物販店では「売場」と「在庫」のバランスを見る
物販店では、できるだけ売場を広くしたくなるかもしれません。
しかし、商品を販売するには在庫や梱包資材などを置く場所も必要です。
例えば、
-
商品在庫
-
段ボール
-
ショッパー
-
備品
-
清掃用品
-
スタッフ私物
などです。
バックヤードが小さすぎると、売場に在庫があふれたり、日々の運営がしにくくなったりする可能性があります。
店舗の見た目だけでなく、営業開始後の運営まで考えて広さを決めましょう。
バックヤードは「余った場所」にしない
開業前のレイアウトでは、どうしてもお客様が利用する場所を優先しがちです。
その結果、
「残ったスペースをバックヤードにする」
という考え方になることがあります。
しかし、営業を始めるとバックヤードには、
-
在庫
-
消耗品
-
清掃用品
-
書類
-
スタッフの荷物
-
着替え
-
梱包資材
など多くのものが集まります。
業種によって必要量は異なりますが、バックヤードも店舗運営に必要なスペースとして最初から計画しましょう。
広すぎても狭すぎても店舗運営に影響する
店舗は、広ければ広いほど良いわけではありません。
必要以上に広い物件を借りると、
-
賃料・共益費
-
内装工事
-
空調
-
照明
-
清掃
-
家具・什器
などの負担が増える可能性があります。
反対に、狭すぎる物件では、
-
必要設備が入らない
-
収納が不足する
-
スタッフが動きにくい
-
希望する客席・施術席を確保できない
-
待合スペースが取れない
-
商品を十分に展示できない
といった問題が起こる可能性があります。
重要なのは、
できるだけ広い物件や、できるだけ小さい物件を探すことではなく、自分の営業に必要なスペースを無理なく確保できる物件を探すこと
です。
賃料だけでなく、内装・設備工事や開業後の固定費まで含めて判断しましょう。
「何人で働くか」も広さに関係する
店舗面積を考えるときは、お客様だけでなくスタッフ人数も重要です。
例えば同じ美容室でも、
-
1人で営業する
-
2〜3人で営業する
-
将来的にスタッフを増やす
では必要な動線やバックヤードが変わります。
飲食店でも、厨房内で複数人が同時に動くなら、それに合った作業スペースが必要です。
開業時だけでなく、
数年後にどのような営業体制にしたいのか
も考えてみましょう。
ただし、将来の拡大を見込みすぎて必要以上に広い物件を借りると、開業直後から固定費の負担が大きくなる可能性があります。
現実的な事業計画の範囲で検討しましょう。
トイレの位置もレイアウトに影響する
物件によって、トイレが専有部分内にある場合と、建物の共用部にある場合があります。
トイレの位置によって、客席・売場・施術スペース等としてレイアウトできる範囲は変わります。
専有部分内にある場合は、
-
トイレの位置
-
大きさ
-
手洗い
-
お客様とスタッフの動線
-
移設の必要性・可能性
などを確認します。
また、共用トイレを利用できる物件であっても、予定する業種や営業内容によって必要な設備・施設条件等が異なる場合があります。
具体的な計画に応じて確認しましょう。
収納は内見時に見落としやすい
空室状態の店舗は、物が何も置かれていないため広く感じます。
しかし、開業すると、
-
商品
-
備品
-
書類
-
清掃用品
-
ストック
-
スタッフの荷物
などが増えていきます。
内見時には、
「営業開始後、この店の物をどこに置くのか」
まで想像してみましょう。
収納を新たに造作する場合は、そのスペースと工事費も必要です。
面積だけでなく天井高も見る
店舗の印象は床面積だけで決まりません。
同じ面積でも、天井高や梁の位置などによって空間の感じ方や内装計画は変わります。
また、天井付近には、
-
空調
-
ダクト
-
配管
-
照明
-
その他設備
などが関係する場合があります。
希望する内装が可能か、必要に応じて施工会社等へ確認しましょう。
内見前に簡単なレイアウト案を作る
店舗物件を効率よく比較するなら、内見前に簡単なレイアウト案を作っておく方法があります。
例えば飲食店なら、
-
カウンター
-
テーブル席
-
厨房
-
レジ
-
トイレ
-
収納
美容室なら、
-
セット面
-
シャンプー台
-
受付
-
待合
-
バックヤード
などです。
正確な設計図である必要はありません。
必要なものを書き出しておけば、
「この物件に本当に必要なものが入るのか」
という視点で内見できます。
有力物件は施工会社にも確認してもらう
自分で図面を見ただけでは、実際に希望するレイアウトが可能か判断しにくい場合があります。
特に、
-
飲食店
-
美容室
-
設備の多い店舗
-
個室を多く作る店舗
などでは、施工会社や設計会社等に候補物件を確認してもらうと判断材料になります。
例えば、
-
希望レイアウト
-
設備配置
-
給排水
-
電気
-
ガス
-
排気
-
空調
-
工事費の概算
などを確認します。
契約してから「予定したレイアウトが作れない」と気づくことを避けるため、契約前の確認が重要です。
店舗の広さを比較するときのチェックリスト
候補物件では、次の項目を確認しましょう。
店内レイアウト
-
必要な客席・施術席を配置できるか
-
厨房や作業スペースを確保できるか
-
受付・レジを配置できるか
-
待合スペースが必要か
スタッフ
-
スタッフが動きやすいか
-
複数人が同時に作業できるか
-
スタッフスペースが必要か
収納
-
在庫を置けるか
-
備品を収納できるか
-
清掃用品等を保管できるか
設備
-
給排水
-
電気
-
ガス
-
排気
-
空調
などを希望する位置に配置できるか確認します。
物件形状
-
間口
-
奥行き
-
柱
-
梁
-
天井高
-
トイレ
-
設備スペース
を確認します。
費用
-
賃料
-
共益費
-
内装工事費
-
設備工事費
-
空調・照明等の費用
-
家具・什器費
まで含めて比較します。
単純に「広い・狭い」で判断するのではなく、その広さを営業に有効活用できるかを確認しましょう。
店舗の広さについてよくある質問
Q1.店舗は何坪あれば開業できますか?
業種や営業内容によって異なるため、一律に「○坪必要」とは言えません。
まず、
-
客席・施術席
-
厨房・作業スペース
-
受付
-
待合
-
収納
-
バックヤード
-
トイレ
-
必要設備
などを書き出し、それらを無理なく配置できる広さから考えましょう。
また、同じ坪数でも物件の形や柱、設備位置などによってレイアウトのしやすさは変わります。
坪数だけで判断しないことが大切です。
Q2.飲食店は1坪あたり何席が目安ですか?
店舗の業態やレイアウトによって異なるため、固定的な席数だけで物件を判断するのはおすすめできません。
例えば、
-
カウンター中心か
-
テーブル中心か
-
個室を設けるか
-
厨房をどの程度必要とするか
-
待合スペースが必要か
-
テイクアウトを行うか
などによって必要な面積は変わります。
希望する席数だけでなく、厨房・収納・スタッフ動線などを含めてレイアウトを検討しましょう。
Q3.美容室はセット面の数から広さを決めればいいですか?
セット面だけでは判断できません。
シャンプー台、給排水、給湯、受付、待合、収納、スタッフ動線なども必要になります。
特に給排水設備はレイアウトに影響する場合があります。
スペース上はシャンプー台を設置できそうでも、希望する位置まで給排水を施工できるとは限りません。
有力な候補物件では、施工会社等にも確認しましょう。
Q4.広い物件と狭い物件なら、どちらを選ぶべきですか?
広さだけでは判断できません。
まず、客席・施術席、設備、収納、バックヤード、スタッフ動線など、自分の営業に必要なスペースを整理しましょう。
そのうえで、必要な機能を無理なく配置でき、賃料や工事費も事業計画に合う物件を比較することが大切です。
Q5.図面上では十分な広さですが、内見も必要ですか?
図面だけでは分かりにくい部分があるため、実際の物件も確認しましょう。
例えば、
-
柱
-
梁
-
天井高
-
設備位置
-
トイレ
-
入口
-
間口
-
実際の奥行き感
などは店舗レイアウトに影響します。
図面と現地の両方を確認することが重要です。
Q6.物件を申し込む前に内装業者へ相談してもいいですか?
有力な候補物件であれば、契約前に施工会社や設計会社等へ相談する方法があります。
特に設備工事が必要な業種では、
-
希望するレイアウトを作れるか
-
必要設備を設置できるか
-
給排水や排気等の工事が可能か
-
工事費が予算に収まりそうか
などを確認しておくと、物件を判断しやすくなります。
まとめ|「何坪欲しいか」ではなく「店内に何が必要か」から決める
店舗物件を探すとき、
「何坪くらい必要?」
と考えがちです。
しかし、必要な店舗面積は業種や営業内容によって異なります。
まず、
-
客席・施術席
-
厨房・作業スペース
-
受付・レジ
-
待合
-
スタッフ動線
-
収納
-
バックヤード
-
トイレ
-
必要設備
など、店内に必要な機能を書き出してみましょう。
そのうえで、それらを無理なく配置できる広さを考えます。
また、募集面積が同じでも、
-
間口
-
奥行き
-
物件の形
-
柱・梁
-
トイレ
-
設備位置
-
天井高
などによってレイアウトのしやすさは変わります。
そのため、
「20坪だから十分」「10坪だから狭い」のように、面積の数字だけで判断しないこと
が重要です。
有力な候補物件が見つかったら、必要に応じて施工会社や設計会社等にも相談し、希望するレイアウトや設備を実現できるか契約前に確認しましょう。
店舗の広さを決める基準は、単なる坪数ではありません。
「この物件で、自分が計画している店を無理なく作り、営業できるか」
という視点で比較することが、開業後まで見据えた物件選びにつながります。
これから開業する店舗を探すなら「テナントサガス」
テナントサガスでは、これから開業・出店を考えている方に向けて、店舗・事務所などの事業用物件を掲載しています。
物件を探す前に、
-
希望エリア
-
業種・業態
-
必要な客席・施術席
-
スタッフ人数
-
必要設備
-
収納・バックヤード
-
賃料の上限
-
開業予定時期
などを整理してみましょう。
「何坪で探せばいいか分からない」
という場合も、最初から坪数を決めつける必要はありません。
まずは、
店内に何が必要なのか
を整理します。
そのうえで必要なスペースを考えれば、物件検索で設定する面積にも根拠を持たせやすくなります。
広さだけで物件を選ぶのではなく、開業後にスタッフとお客様が無理なく利用できる店舗を作れるかまで考えて比較していきましょう。