店舗物件はいつから探す?開業予定日から逆算したテナント探しのスケジュール
はじめに|店舗探しは「開業したい日」から逆算して考える
「お店を開きたいけれど、店舗物件はいつから探せばいい?」
「物件が決まってから開業まで、どのくらい準備が必要?」
「融資と物件探しはどちらを先に進めればいい?」
初めて店舗を開業する方からすると、物件探しを始めるタイミングは意外と分かりにくいものです。
飲食店、美容室、サロン、クリニック、物販店、事務所など、テナントを借りて事業を始める場合は、単に「物件を見つけて契約すれば終わり」ではありません。
一般的には、
-
開業計画
-
資金計画
-
エリア選定
-
物件探し
-
内見
-
申込み
-
入居審査
-
賃貸借契約
-
内装・設備工事
-
必要な許可・届出等
-
備品・什器の搬入
-
開業準備
といった工程があります。
さらに、希望条件に合う物件がすぐ見つかるとは限りません。
そのため店舗探しでは、
「良い物件が出たら開業する」ではなく、「いつ開業したいのか」から逆算して準備する
ことが大切です。
この記事では、これから店舗や事務所を開業したい方に向けて、テナント探しを始めるタイミングと、物件探しから開業までの流れを分かりやすく解説します。
※実際に必要な期間や手続きは、業種、物件、工事内容、融資、許認可等によって大きく異なります。本記事の流れは一般的な考え方として参考にし、具体的な計画では関係機関や専門家等へ確認してください。
店舗物件はいつから探し始める?
店舗探しを始める時期に「必ず開業の○か月前」という一律の正解はありません。
小規模な事務所と大型飲食店では必要な準備期間が違いますし、スケルトン物件と居抜き物件でも工事内容は大きく変わります。
また、融資を利用するかどうか、許認可が必要な業種かどうかによってもスケジュールは変わります。
ただし、共通して言えるのは、
開業直前になってから物件探しを始めるのではなく、余裕を持って条件整理と情報収集を始める
ことです。
人気エリアや条件の良い物件は、自分の開業時期に合わせて募集されるとは限りません。
早い段階から市場を見ておけば、
「このエリアならどのくらいの賃料なのか」
「希望する広さの物件はどのくらい出るのか」
「自分の業種で使える物件は多いのか」
といった感覚もつかみやすくなります。
最初に決めるのは物件ではなく「開業条件」
いきなり物件検索サイトを開いて、気になる店舗を探し始める方も多いでしょう。
しかし、その前に最低限の条件を整理しておくと、物件探しがかなり効率的になります。
まず決めたいのは、
-
どんな事業をするのか
-
いつ頃開業したいのか
-
どのエリアで開業したいのか
-
必要な広さ
-
月額賃料の上限
-
初期費用として使える予算
-
必要な設備
-
駐車場の必要性
-
路面店が必要か
-
希望する階数
-
営業時間
-
来店型か予約型か
などです。
すべてを最初から完璧に決める必要はありません。
「絶対に譲れない条件」と「できれば欲しい条件」を分けるだけでも、物件を比較しやすくなります。
開業までの流れ① 事業計画と資金計画を整理する
店舗探しと並行して、事業計画と資金計画を整理します。
テナントを借りて開業する場合、必要なのは物件取得費だけではありません。
物件によっては、
-
保証金・敷金
-
礼金
-
前家賃
-
仲介手数料
-
保証会社費用
-
保険料
などが発生します。
さらに、
-
内装工事
-
電気工事
-
空調工事
-
給排水工事
-
ガス工事
-
厨房設備
-
看板
-
家具
-
什器
-
POS等のシステム
-
広告・販促
-
採用
-
開業後の運転資金
なども考える必要があります。
物件取得だけに予算を使いすぎると、開業後の運転資金が不足する可能性があります。
そのため、
「いくらの家賃なら払えるか」ではなく、「開業から営業を軌道に乗せるまで含めて、いくら使えるか」
という視点で予算を考えましょう。
開業までの流れ② 希望エリアを決める
次に、出店エリアを検討します。
店舗ビジネスでは立地が重要ですが、
「人通りが多い場所=自分の店に最適」
とは限りません。
例えば、
-
ターゲットとなる顧客がいるか
-
駅からの距離
-
周辺の住宅・オフィス
-
競合店舗
-
昼と夜の人の流れ
-
平日と休日の違い
-
車で来店しやすいか
-
自転車を停められるか
-
店舗が道路から見えるか
などを確認します。
美容室やクリニック、学習塾などでは住宅地との相性が良いこともあります。
一方、飲食店や物販店では駅前や商業エリアの方が適している場合があります。
自分の業種と顧客に合わせてエリアを選ぶことが大切です。
開業までの流れ③ テナント物件を探す
条件がある程度まとまったら、本格的に物件を探します。
物件検索では、
-
エリア
-
賃料
-
面積
-
階数
-
駅徒歩
-
業種
-
居抜き・スケルトン
-
駐車場
などを確認します。
ただし、検索条件を細かく設定しすぎると、候補がほとんど出てこなくなることがあります。
最初は少し幅を持たせて検索し、実際の募集状況を見ながら条件を調整するとよいでしょう。
「良い物件が出るまで待つ」という時間も考える
住宅の賃貸とは異なり、店舗物件は希望するエリア・広さ・設備・業種条件がすべて合うものが常に募集されているとは限りません。
例えば、
「駅徒歩5分以内」
「1階」
「飲食可」
「希望予算以内」
「必要な厨房設備を設置できる」
など条件が増えるほど、対象物件は少なくなります。
物件探しの期間を考えるときは、
内見や契約に必要な時間だけでなく、「条件に合う物件が出てくるまでの時間」も考えておく
ことが重要です。
開業までの流れ④ 気になる物件を内見する
条件に合いそうな物件が見つかったら、内見します。
店舗の内見では、室内の広さや雰囲気だけを確認するのでは不十分です。
例えば、
-
間口
-
天井高
-
電気容量
-
ガス
-
給水・排水
-
空調
-
排気
-
ダクト
-
トイレ
-
看板設置位置
-
搬入経路
-
ごみ置場
-
駐車場
-
駐輪
-
共用部分
-
営業時間の制限
などを確認します。
飲食店や美容室など設備条件が重要な業種では、物件が有力候補になった段階で施工会社等にも相談すると安心です。
居抜き物件なら設備も確認する
居抜き店舗の場合は、
「設備が残っているからすぐ開業できる」
とは限りません。
確認したいのは、
-
誰の所有物か
-
造作譲渡の対象か
-
残置物か
-
リース品ではないか
-
正常に動作するか
-
自分の業種で使用できるか
-
修理や交換が必要ではないか
などです。
居抜き物件は開業費用を抑えられる可能性がありますが、既存設備が自分の営業に合わなければ追加工事が必要になります。
物件の見た目だけで判断しないようにしましょう。
開業までの流れ⑤ 申込みと入居審査
借りたい物件が決まったら、申込みへ進みます。
申込みでは、物件や申込者によって、
-
申込書
-
本人確認書類
-
法人情報
-
登記事項証明書
-
決算に関する資料
-
確定申告に関する資料
-
事業計画書
-
資金計画
-
その他必要資料
などを求められる場合があります。
新規開業の場合は、既存企業のような過去の営業実績がないこともあります。
その場合は、
-
どのような事業をするのか
-
開業資金をどう準備するのか
-
どのような顧客を想定しているのか
-
開業後の収支をどう考えているのか
などを説明できるようにしておきましょう。
申込み=契約成立ではない
ここは重要です。
物件へ申込みをしたからといって、その時点で賃貸借契約が成立したとは限りません。
申込み後に、
-
保証会社の審査
-
貸主側の審査
-
業種確認
-
契約条件の調整
などが行われる場合があります。
また、具体的な契約成立時期は個別の契約過程によって異なります。
そのため、
申込みをしただけの段階で「物件が確定した」と考えて、大きな支出や工事発注を進めることには注意が必要です。
開業までの流れ⑥ 契約条件を確認する
審査や条件調整が進んだら、賃貸借契約の内容を確認します。
特に確認したいのは、
-
賃料
-
共益費
-
保証金・敷金
-
礼金
-
契約期間
-
更新条件
-
使用目的
-
営業可能な業種
-
営業時間
-
内装工事
-
看板
-
設備
-
修繕負担
-
原状回復
-
禁止事項
などです。
「募集図面に書いてあったから大丈夫」と考えず、最終的には契約書等の内容を確認しましょう。
融資と物件探しはどちらを先にする?
開業資金として金融機関等の融資を利用する場合、
「融資を決めてから物件を探すのか」
「物件を決めてから融資を申し込むのか」
で悩む方もいるでしょう。
実際には、完全にどちらか一方を終えてから次へ進むのではなく、並行して準備するケースがあります。
物件が決まらなければ、
-
賃料
-
保証金
-
内装工事費
-
必要設備
などを具体化できません。
一方で、資金調達の見込みを確認せずに物件契約を先行すると、資金面で問題が生じる可能性があります。
そのため、
物件探しと資金計画・融資相談を並行して進める
という考え方が現実的です。
融資制度や金融機関によって必要書類や手続きが異なるため、利用予定の金融機関等へ早めに相談しましょう。
開業までの流れ⑦ 内装・設備工事を進める
物件を借りられることになったら、開業に向けて内装・設備工事を進めます。
工事内容は物件と業種によって大きく異なります。
例えば飲食店なら、
-
厨房
-
給排水
-
ガス
-
電気
-
排気
-
ダクト
-
空調
-
客席
-
トイレ
-
看板
などが関係します。
美容室なら、
-
シャンプー台
-
給排水
-
給湯
-
電気
-
空調
-
セット面
-
照明
などがあります。
スケルトン物件では工事範囲が大きくなりやすく、居抜き物件でも既存設備がそのまま利用できるとは限りません。
物件契約前から施工会社へ相談できると、工事費や工期を把握しやすくなります。
工事期間中にも賃料が発生する可能性がある
テナント契約では、営業開始日と賃料発生日が同じとは限りません。
契約条件によっては、内装工事をしている期間にも賃料が発生します。
そのため、
「オープンしてから家賃が始まる」
と思い込まないよう注意しましょう。
物件によっては賃料発生日について個別の条件が設定されることもあります。
契約前に、
-
契約開始日
-
引渡日
-
賃料発生日
-
工事可能日
を確認しておきましょう。
開業までの流れ⑧ 必要な許可・届出等を確認する
業種によっては、営業開始前に行政上の許可・届出等が必要です。
例えば飲食店営業では、食品衛生法に基づく営業許可が必要となる業種があります。
店舗の構造・設備が施設基準に適合する必要があるため、内装工事を完成させてから初めて確認するのではなく、計画段階から所管の保健所へ相談しておくと安心です。
また、建物や工事内容、営業形態などによって消防関係の手続きが必要になる場合があります。
業種によって必要な手続きは異なります。
「前のテナントも同じ業種だったから大丈夫」
と判断せず、新しい事業者として必要な手続きを確認しましょう。
開業までの流れ⑨ 備品・採用・集客準備
工事と並行して、営業開始に必要な準備も進めます。
例えば、
-
家具・什器
-
レジ・POS
-
電話・インターネット
-
キャッシュレス決済
-
備品
-
制服
-
メニュー
-
商品
-
スタッフ採用
-
研修
-
ホームページ
-
SNS
-
Googleビジネスプロフィール
-
チラシ
-
店頭看板
などです。
店舗が完成してから全部始めると、開業日までに間に合わない可能性があります。
「物件」「工事」「営業準備」を並行して管理しましょう。
開業日を先に決めすぎない方がいい場合もある
開業予定日を決めることは重要ですが、物件が決まる前から絶対に動かせせない日付として設定すると、物件選びを急いでしまうことがあります。
特に、
-
希望条件に合う物件が見つからない
-
入居審査に時間がかかる
-
融資手続きが進行中
-
工事内容が増えた
-
設備の納期が延びた
-
許認可等の確認に時間が必要
といったことは起こり得ます。
開業日は目標として設定しつつ、物件や工事内容が確定するまでは一定の余裕を持たせておく方が安全です。
物件探しを急ぐと起こりやすい失敗
開業日が迫ってから物件を探すと、
「もう時間がないからここでいい」
という判断になりやすくなります。
しかし店舗は、開業後の売上や運営に長く影響する場所です。
急いで決めた結果、
-
賃料が予算を超えている
-
必要な設備容量が足りない
-
想定した業種で使用できない
-
視認性が悪い
-
客層が合わない
-
想定以上に内装工事費がかかる
といった問題に気づく可能性があります。
開業予定日に間に合わせることよりも、
その場所で事業を継続できるか
を優先して判断しましょう。
反対に「早く契約しすぎる」ことにも注意
早めに物件を探すことは重要ですが、
「気に入った物件を見つけたから、とりあえず契約しておこう」
という進め方にも注意が必要です。
契約すると、営業開始前でも賃料等が発生する場合があります。
開業まで長期間空いてしまえば、売上がない状態で固定費を負担する期間が長くなる可能性があります。
そのため、
早く探し始めることと、早く契約することは別
と考えましょう。
情報収集や条件整理は早めに始め、契約するタイミングは工事・資金・許認可・開業準備などを含めて判断することが重要です。
開業スケジュールを組むときのチェックリスト
店舗開業を計画するときは、次の項目を一度書き出してみましょう。
事業計画
-
何を提供する店なのか
-
ターゲットは誰か
-
客単価
-
営業時間
-
必要なスタッフ
-
開業予定時期
資金
-
自己資金
-
融資等の利用予定
-
物件取得費
-
内装・設備費
-
什器・備品費
-
広告費
-
運転資金
物件
-
エリア
-
賃料
-
広さ
-
階数
-
必要設備
-
居抜き・スケルトン
-
駐車場
-
看板
-
業種制限
契約
-
申込みに必要な書類
-
入居審査
-
保証会社
-
契約条件
-
引渡日
-
賃料発生日
工事
-
内装業者
-
見積り
-
工事内容
-
工期
-
設備
-
看板
開業手続き
-
業種に必要な許可・届出等
-
保健所への確認
-
消防関係の確認
-
その他必要な手続き
営業準備
-
備品
-
仕入れ
-
採用
-
スタッフ研修
-
決済環境
-
インターネット
-
集客
-
プレオープン等
一つの工程だけを見るのではなく、全体を一覧にして管理すると進捗を把握しやすくなります。
店舗物件探しでよくある質問
Q1.開業の何か月前から物件を探すのがいいですか?
一律に「○か月前が正解」とは言えません。
必要な期間は、業種、希望条件、工事内容、融資、許認可等によって変わります。
ただし、開業直前になってから探し始めると選択肢が限られる可能性があります。
まずは早めに希望条件を整理し、希望エリアの募集状況を確認するところから始めるとよいでしょう。
Q2.物件が決まってから内装業者を探せばいいですか?
必ずしも物件決定後まで待つ必要はありません。
設備条件や工事費が物件選びに影響する業種では、候補物件の段階から施工会社へ相談する方法があります。
特に飲食店や美容室などでは、設備容量や給排水、排気などの確認が重要です。
Q3.融資と物件探しはどちらを先に進めればいいですか?
状況によりますが、物件探しと資金計画・融資相談を並行して進める方法があります。
具体的な手続きや必要書類については、利用予定の金融機関等へ早めに確認しましょう。
Q4.居抜き物件なら早く開業できますか?
既存の内装や設備を利用できれば、工事範囲を抑えられる可能性があります。
ただし、設備が正常に使用できるか、自分の業種に適しているか、追加工事が必要かなどによって変わります。
「居抜き=すぐ開業できる」とは限りません。
Q5.気に入った物件があればすぐ申し込んだ方がいいですか?
条件の良い物件では早く申込みが入る場合がありますが、焦って判断するのはおすすめできません。
少なくとも、
-
業種が可能か
-
必要設備を確保できるか
-
初期費用はいくらか
-
工事費はどの程度か
-
契約条件に問題がないか
などを確認したうえで判断しましょう。
Q6.開業日が決まっていなくても物件を探していいですか?
もちろんです。
むしろ早い段階から募集状況を見ることで、希望エリアの賃料感や物件の出方を把握しやすくなります。
ただし、実際に申込み・契約へ進む段階では、開業時期や資金計画をある程度具体化しておくことが重要です。
まとめ|物件探しは「早く契約する」のではなく「早く準備する」
店舗物件をいつから探すべきかについて、すべての開業者に共通する「○か月前」という正解はありません。
業種、物件、工事、融資、許認可などによって必要な時間は変わります。
重要なのは、開業予定日から逆算し、早めに準備を始めることです。
特に、
-
事業内容を整理する
-
資金計画を作る
-
希望エリア・物件条件を決める
-
募集物件を探す
-
内見して設備・立地を確認する
-
申込み・審査を進める
-
契約条件を確認する
-
内装・設備工事を進める
-
必要な許可・届出等を確認する
-
営業準備を整える
-
開業する
という全体の流れを意識しておきましょう。
そして、
「早く探す」と「早く契約する」は違います。
情報収集は早めに始めつつ、契約については資金計画、工事、設備、業種条件などを確認して判断することが大切です。
開業日を優先するあまり物件選びを妥協するのではなく、開業後に事業を続けやすい店舗を選びましょう。
これから開業するための貸店舗・貸事務所を探すなら「テナントサガス」
テナントサガスでは、これから開業・出店・移転を考えている方に向けて、店舗・事務所などの事業用物件を掲載しています。
まだ具体的な物件が決まっていなくても、
-
希望エリア
-
業種
-
賃料の上限
-
必要な広さ
-
必要設備
-
開業予定時期
を整理するところから物件探しを始められます。
「何から決めればいいか分からない」
「この業種ならどんな物件を探せばいい?」
「居抜きとスケルトンのどちらがいい?」
「この物件で予定している店舗を作れそう?」
といった疑問を一つずつ整理しながら、自分の事業に合った店舗を探していきましょう。
理想の開業に近づく第一歩は、契約を急ぐことではなく、早めに正しい条件で物件を探し始めることです。