テナント契約の保証会社とは?保証料・審査・連帯保証人との違いをわかりやすく解説
はじめに|「保証会社加入必須」と書いてあるけれど、何のため?
貸店舗や貸事務所を探していると、募集条件の中に、
「保証会社加入必須」
「指定保証会社利用」
といった記載を見かけることがあります。
初めてテナントを借りる方にとっては、
「保証会社は何をする会社?」
「保証料はいくらかかる?」
「保証会社を使えば連帯保証人はいらない?」
「新規開業でも審査を受けられる?」
など、分からないことも多いでしょう。
店舗・事務所などの事業用賃貸では、物件や保証会社、申込者の属性などによって保証内容や必要書類、保証料、審査方法が異なります。
また、保証会社を利用するからといって、必ず連帯保証人が不要になるわけではありません。
この記事では、これから貸店舗・貸事務所を借りる方に向けて、テナント契約における保証会社の仕組みから、保証料、審査、連帯保証人との違い、申込み前に確認しておきたいポイントまで順番に解説します。
※保証会社の利用条件、保証範囲、保証料、審査基準、必要書類などは、保証会社・物件・貸主・申込者によって異なります。実際に申し込む際は、対象物件の募集条件や保証委託契約の内容をご確認ください。
テナント契約の保証会社とは?
テナント契約における保証会社は、借主が負担する賃料等の債務について、契約で定めた範囲を保証する会社です。
貸店舗や貸事務所の募集条件では、保証会社への加入が契約条件となっていることがあります。
借主は保証会社と保証委託契約を締結し、所定の保証料を支払います。
ここで注意したいのが、
「保証会社に加入していれば、家賃を支払えなくなっても保証会社が代わりに払ってくれるから問題ない」
という意味ではないことです。
保証人が主たる債務者に代わって弁済した場合、一定の場合には主たる債務者に対する求償権が生じます。
つまり、保証会社が貸主側へ支払いを行ったからといって、借主の負担が当然になくなるわけではありません。
保証会社は、借主の家賃を無料で負担してくれるサービスではないことを理解しておきましょう。
なぜテナント契約で保証会社を利用するの?
貸主側の賃料滞納リスクに備えるため
店舗や事務所では、住居より月額賃料が高額になる物件もあります。
賃料の支払いが滞れば、貸主側にとっても大きな負担になります。
そのため、貸主や管理会社が保証会社への加入を契約条件として設定することがあります。
保証範囲は契約によって異なるため、「保証会社に加入する」という事実だけではなく、何が保証対象になっているのかを確認することが大切です。
連帯保証人だけに依存しない契約にするため
テナント契約では、連帯保証人を求められることがあります。
一方で、
「保証会社に加入すれば連帯保証人不要」
という物件もあれば、
「保証会社+連帯保証人」
を求められる物件もあります。
法人契約の場合には、法人が借主となり、代表者個人について一定の保証を求められるケースもあります。
保証会社と連帯保証人は必ずしも二者択一ではありません。
物件ごとの条件を確認しましょう。
保証会社を使えば連帯保証人はいらない?
必ずしもそうではありません。
保証会社を利用することで連帯保証人が不要となる場合もありますが、物件や保証会社、審査結果などによって条件は異なります。
例えば、
-
法人代表者の保証を求められる
-
別途連帯保証人を求められる
-
緊急連絡先を求められる
-
審査内容に応じて追加資料を求められる
といった場合があります。
そのため、
「保証会社加入=連帯保証人は絶対に不要」
とは考えず、申込み前に確認してください。
個人が連帯保証人になる場合は「極度額」も確認する
店舗や事務所の賃貸借契約で個人が連帯保証人になる場合には、保証契約の内容にも注意が必要です。
賃料など継続的に発生する債務を個人が保証する「個人根保証契約」については、民法上、保証人が責任を負う上限となる「極度額」を定める必要があります。
極度額を定めなければ、その個人根保証契約は効力を生じません。
法人が保証人になる場合とは扱いが異なる部分があるため、個人の連帯保証人を設定する契約では、契約書の保証条項と極度額を確認しましょう。
テナントの保証会社にはいくらかかる?
保証会社を利用する場合には、保証料が必要になります。
ただし、事業用テナントの保証料について「全国一律○%」という共通料金があるわけではありません。
保証会社や契約プラン、物件、申込者などによって異なります。
保証料を算出するときの基準についても、
-
賃料
-
共益費・管理費
-
駐車場代
-
看板料
-
その他の月額費用
など、何を含めるかが契約によって異なる場合があります。
募集図面に「保証会社加入必須」とだけ書かれている場合には、具体的な保証料まで確認しましょう。
初回保証料だけでなく更新・継続費用も確認する
初期費用を計算するときに見落としやすいのが、契約後の保証関連費用です。
保証会社や契約プランによっては、初回保証料だけではなく、その後も更新保証料や継続保証料などが必要になる場合があります。
確認したいのは、
-
初回保証料
-
更新・継続保証料の有無
-
更新時期
-
支払方法
-
保証契約の期間
です。
テナントは数年間借り続けることもあります。
契約時に必要な金額だけではなく、入居後のランニングコストまで確認しましょう。
「何を保証しているのか」も確認する
保証会社に加入する際は、金額だけではなく保証範囲も確認することが重要です。
契約によって保証対象は異なります。
そのため、
「家賃保証だから全部保証される」
と考えず、保証委託契約書や案内書面で対象範囲を確認してください。
特に事業用物件では、賃料以外にも共益費、駐車場代、その他の月額費用などが発生する場合があります。
どこまでが保証対象となるのか、不明な点は契約前に確認しましょう。
保証会社の審査では何を確認される?
保証会社へ申し込むと審査が行われます。
ただし、具体的な審査基準は保証会社によって異なり、すべての基準が一般公開されているわけではありません。
そのため、
「この年収なら必ず通る」
「設立1年未満だから通らない」
「自己資金が○万円あれば大丈夫」
などと一律に判断することはできません。
申込者が法人なのか、個人事業主なのか、新規開業なのかによっても、提出を求められる情報や資料が異なる場合があります。
法人で申し込む場合
法人名義でテナントを申し込む場合には、会社に関する情報の提出を求められることがあります。
例えば、
-
法人名
-
所在地
-
代表者
-
設立年月
-
事業内容
-
資本金
-
入居後に行う事業
-
会社の業績に関する情報
などです。
必要に応じて、登記事項証明書や決算に関する資料などの提出を求められる場合もあります。
必要書類は保証会社や物件によって異なるため、申込み前に確認しましょう。
個人事業主で申し込む場合
個人事業主の場合は、申込者本人に関する情報と、現在の事業について確認されることがあります。
例えば、
-
事業内容
-
営業年数
-
所得や売上に関する情報
-
確定申告に関する資料
-
出店予定の事業内容
などです。
現在行っている事業と新店舗との関係について説明できるようにしておくと、申込みを進めやすくなります。
新規開業でもテナントの保証会社へ申し込める?
新規開業だからという理由だけで、すべてのテナント物件を借りられないわけではありません。
ただし、新設法人や開業前の個人事業主では、既存企業のように過去数年分の営業実績や決算を示せない場合があります。
そのため、
-
どのような事業を行うのか
-
誰を顧客とするのか
-
開業資金をどのように準備しているのか
-
開業後の資金計画
-
なぜその場所へ出店するのか
-
いつ開業する予定なのか
などを説明できるようにしておくことが大切です。
事業計画書や資金計画を作成している場合は、必要に応じて提出できるよう準備しておきましょう。
保証会社の審査と貸主の入居審査は別?
物件によっては、保証会社による審査とは別に、貸主や管理会社による入居審査があります。
つまり、
「保証会社の審査に通った=必ず賃貸借契約を締結できる」
とは限りません。
貸主側では、申込者の支払能力だけでなく、
-
業種・業態
-
営業時間
-
来客数
-
音や振動
-
臭い・煙
-
建物との相性
-
他の入居テナントとの競合
-
希望する内装工事
-
看板
-
建物の管理規約
などを確認する場合があります。
例えば、保証会社の審査に問題がなくても、予定している営業内容が物件の使用条件に合わなければ、契約できない可能性があります。
テナントの入居審査は、単純に「支払能力だけを見るもの」と考えない方がよいでしょう。
審査をスムーズに進めるために準備しておきたいこと
1.申込書は正確に記入する
会社名、所在地、代表者、連絡先、事業内容などは正確に記載します。
分からない項目を推測して記入せず、不動産会社へ確認しましょう。
記載内容と提出書類の内容が食い違わないようにすることも大切です。
2.必要書類を早めに確認する
必要書類が揃わなければ、審査開始まで時間がかかる場合があります。
気になる物件が見つかったら、
「この物件へ申し込む場合、何が必要ですか?」
と早めに確認しておきましょう。
3.事業内容を具体的に説明できるようにする
特に店舗の場合は、
「飲食店です」
「美容関係です」
だけでは営業内容が十分に伝わらない場合があります。
例えば飲食店なら、
-
主なメニュー
-
調理方法
-
営業時間
-
酒類提供の有無
-
煙・臭いの程度
-
厨房設備
-
来店客数の想定
などによって、建物への影響が変わります。
貸主側が判断できるよう、できるだけ具体的に伝えましょう。
4.新規開業なら資金計画を整理する
新規開業の場合、物件取得費だけを考えるのでは不十分です。
例えば、
-
保証金・敷金
-
礼金
-
仲介手数料
-
保証会社費用
-
内装工事
-
設備
-
什器
-
仕入れ
-
広告
-
採用
-
開業後の運転資金
などが必要になる場合があります。
物件を契約した段階で資金を使い切らないよう、開業後まで含めた資金計画を立てましょう。
保証会社の審査にはどれくらい時間がかかる?
審査期間は、保証会社、申込内容、必要書類の状況などによって異なります。
そのため、
「必ず1日」
「必ず3営業日」
などと一律には言えません。
例えば、
-
書類が不足している
-
申込内容の確認が必要
-
追加資料が必要
-
関係者への確認が取れない
-
貸主側の審査も並行している
といった場合には時間がかかる可能性があります。
開業予定日が決まっている場合でも、審査結果が出る日を前提に工事業者や仕入先との契約を先行させるのではなく、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
保証会社などから確認の電話が入ることはある?
申込内容の確認などのため、保証会社等から申込者や関係者へ連絡が入る場合があります。
申込書には連絡可能な電話番号を正確に記載しましょう。
申込み後は、不動産会社から案内された確認連絡などに対応できる状態にしておくと、手続きを進めやすくなります。
保証会社は自分で選べる?
自由に選べるとは限りません。
物件によっては、貸主や管理会社が利用する保証会社を指定しています。
募集図面に保証会社名が記載されていなくても、申込み時に指定される場合があります。
そのため、
「別の保証会社を使いたい」
「現在別物件で利用している保証会社を使いたい」
という希望があっても、その物件で利用できるとは限りません。
保証会社について希望がある場合は、申込み前に確認しましょう。
保証会社を利用しないテナント物件もある?
すべての貸店舗・貸事務所で保証会社への加入が法律上必須というわけではありません。
実際の契約条件は、物件や貸主などによって異なります。
保証会社を利用せず連帯保証人を設定する契約もあれば、連帯保証人がいても保証会社への加入を求められる契約もあります。
そのため、物件探しの最初から「保証会社なし」に絞りすぎるより、希望に合う物件を探したうえで個別の契約条件を確認する方が選択肢を広げやすいでしょう。
テナントの保証会社で申込み前に確認したい10項目
気になる物件が見つかったら、次の項目を確認してみましょう。
-
保証会社への加入は必須か
-
利用する保証会社はどこか
-
初回保証料はいくらか
-
更新・継続保証料はあるか
-
保証料の計算対象となる月額費用は何か
-
連帯保証人は別途必要か
-
法人の場合、代表者の保証等が必要か
-
申込みに必要な書類は何か
-
保証会社とは別に貸主側の入居審査があるか
-
保証委託契約の内容・保証範囲はどうなっているか
この10項目を申込み前に整理しておけば、
「思っていたより初期費用が高かった」
「保証人は不要だと思っていた」
「追加書類が必要になって開業スケジュールが遅れた」
といった行き違いを減らしやすくなります。
テナントの初期費用は保証料だけではない
保証会社の費用は、テナント契約で必要になる初期費用の一部です。
物件によっては、
-
保証金・敷金
-
礼金
-
前家賃
-
共益費・管理費
-
仲介手数料
-
保証会社費用
-
保険料
-
その他契約上必要な費用
などが発生します。
さらに店舗の場合は、契約後に、
-
内装
-
電気
-
空調
-
給排水
-
ガス
-
排気
-
看板
-
厨房設備
-
什器
などの工事・設備費が必要になることがあります。
物件を比較するときは、
「月額賃料はいくらか」
だけではなく、
「契約して営業を開始するまでに総額でいくら必要なのか」
まで計算することが大切です。
保証料が安ければ「お得な物件」とは限らない
保証料は物件取得費の一項目にすぎません。
例えば保証料が低くても、
-
賃料が高い
-
保証金が高い
-
共益費が高い
-
大規模な内装工事が必要
-
設備の増設が必要
-
退去時の原状回復範囲が広い
のであれば、総額では別の物件の方が負担を抑えられる可能性があります。
反対に、保証料だけを見ると高く感じても、既存設備を活用できたり、希望する営業に適した立地だったりすれば、事業全体では合理的な選択になることもあります。
一つの費用だけではなく、契約から退去までの総コストを意識して比較しましょう。
保証会社とテナント契約でよくある質問
Q1.保証会社を使えば連帯保証人は不要ですか?
必ず不要になるとは限りません。
保証会社、貸主、申込者、審査結果などによって条件が異なります。
法人契約では、代表者について一定の保証を求められる場合もあります。
申込み前に個別の条件を確認してください。
Q2.新しく会社を作ったばかりでも申し込めますか?
新設法人や新規開業者でも申し込めるテナント物件はあります。
ただし、必要書類や審査内容は申込先によって異なります。
過去の決算を提出できない場合などには、事業内容や資金計画について説明できる資料を準備しておくとよいでしょう。
Q3.保証会社の審査に通れば入居できますか?
必ず入居できるとは限りません。
保証会社とは別に貸主・管理会社などによる審査が行われる場合があります。
また、予定している業種や工事内容などが物件の条件に合わなければ、契約できない可能性もあります。
Q4.保証会社を途中で変更できますか?
自由に変更できるとは限りません。
貸主、管理会社、保証会社との契約条件によって異なるため、変更を希望する場合は事前に確認が必要です。
Q5.法人契約でも保証会社は必要ですか?
法人契約でも保証会社への加入を条件としている物件があります。
会社の規模や設立年数だけで一律に判断できるものではありません。
募集条件を確認しましょう。
Q6.保証会社が家賃を支払ったら、借主は払わなくてもいい?
いいえ、そのように考えるべきではありません。
保証人が主たる債務者に代わって弁済した場合、一定の場合には主たる債務者に対する求償権が生じます。
保証会社への加入は、借主自身の賃料支払義務をなくす制度ではありません。
Q7.個人の連帯保証人には上限がありますか?
個人が一定の範囲の不特定債務を保証する個人根保証契約では、民法上「極度額」を定める必要があります。
実際の契約では、保証条項と極度額を確認してください。
まとめ|保証会社も「テナント契約の総条件」の一つとして確認しよう
貸店舗や貸事務所を借りる際、保証会社への加入が契約条件となっていることがあります。
重要なのは、
「保証会社が必要かどうか」
だけを見ることではありません。
確認したいのは、
-
初回保証料
-
更新・継続費用
-
保証範囲
-
連帯保証人の有無
-
必要書類
-
保証会社の審査
-
貸主側の審査
-
その他の初期費用
-
賃貸借契約全体の条件
です。
また、保証会社の審査と貸主側の入居審査は必ずしも同じものではありません。
特に新規開業の場合は、事業内容や資金計画を整理し、物件へ申し込む前から必要な資料を準備しておくと手続きを進めやすくなります。
気になる貸店舗・貸事務所が見つかったら、賃料や立地だけで判断せず、保証会社を含めた契約条件全体を確認して比較しましょう。
貸店舗・貸事務所を探すなら「テナントサガス」
テナントサガスでは、店舗・事務所などの事業用テナント物件を掲載しています。
「初めて店舗を借りるので、契約条件の見方が分からない」
「新規開業で物件を探している」
「保証会社や初期費用も含めて比較したい」
といった場合は、まず希望条件を整理するところから始めてみてください。
物件を探す際には、
-
希望エリア
-
月額賃料の上限
-
必要な広さ
-
業種・業態
-
希望する設備
-
開業・移転予定時期
まで具体的にしておくと、候補を比較しやすくなります。
物件情報だけでは分からない契約条件も確認しながら、自分の事業に合ったテナントを探していきましょう。